セリーヌ 26歳の場合
「彼女とはもう終わったって言ったじゃない!
あなたは私のことなんて愛していないんだわ もううんざり」
セリーヌは自分でも驚くほど大きな声を上げていた。
しんとした空気のなか彼女は身震いをして
受話器を持ったまま、そばにあるセーターをたぐり寄せた。
越したばかりのフラットには、荷解きしていない本や
安っぽい傘が濡れて開いたままだ。
彼の沈黙がひとしきり続くと、
セリーヌは足の小指の爪が伸びているのに気がついた。
時計は午前2時を過ぎている。
「わかった。もういいわ」
静かにそう言い電話を切ると、バスルームに行った。
バスタブの縁に腰掛けて熱い湯を出すと涙があふれてきた。
鏡に映る自分を見て彼女はもっとオーバーに泣いてみた。
ふと気がついて見たら、まだ湯はたまっていない。
ベットに素早くもぐりこむと、もう怒っていなかった。
「彼ったらわたしに夢中なのよね、たぶん」
セリーヌが週末に着るドレスはもう決まっている。
MOSCHINO HEART SHAPED LEOPARD BODY-CON 90's DRESS
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