あるいは、それが原因ではなかったかもしれない。
僕はガラスコップに浮かぶミントの葉をこなごなになるまでちぎると、
時計が2時を指していることに気がついた。
目の前のタクシーの窓からハンドル片手に煙草を吸う男の指から落ちた灰が空におどった。
サイレンが遠くから近づいてくると、通りの人々の足取りが早く見えた。
皆どこに向かうのか。靴を目で追っていると、この暑さのせいなのか
サイレンの音のせいか、めまいがした。
ショシャーナへ
お目当てのものは手に入ったかい?
明日の昼はどうかな?
それから、大学の敷地に落ちていたのを拾って届けたのは、僕だけではなかった。
何でもないことを君にいちいち話したくなかった。それだけだよ。
彼女は単なる友達のひとりだよ。
そういえば君と初めて行った、『ウクシャー植物園』の
数ブロック先にいい店ができたらしい。
カレン達を誘ってみんなで行くから、君も早く仕事を終わらせておいで。
ビリーD.
僕の悪い癖は正直なことだ。
彼女が何をしたら喜ぶかなんてわかっている。
でもときどきそれを裏切りたく成るんだ。
大切なことは僕が彼女を好きだということで、
"夏" がもう終わるかどうかなんて関係ない。
乾いたコップの下に手紙を置いて、店員に借りたペンを返そうと呼び止めた。
「ああ、よかったらどうぞ」
彼女の胸元のネームプレートに目をやったがよく見えなかった。
もらったペンにはこう書いてある。
「WE LOVE NUTS ! 1-888-4345-XXXX 」